表象の「浦上」--遠藤周作「沈黙」の場合

28日(日)14時から遠藤周作文学館で、文学講座≪表象の「浦上」--遠藤周作『女の一生』の場合≫があった。

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▲遠藤周作文学館と角力灘。この日は薄曇り。いつもの透き通るような碧い空と海はなかった。

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▲講師は、長崎総合科学大学 共通教育センターの横手一彦教授。長崎平和文化研究所長でもある。ご専門は日本近代文学、特に農民文学を研究されているという。

手にされているのは、浦上天主堂と現在原爆落下中心地にある旧浦上天主堂の被爆遺構とをバーチャルで合成した写真。

何を言いたいかというと、虚像である平和祈念像に向かって平和を祈るのはちょっと違和感がある。原爆落下中心地に移設してある浦上天主堂の被爆遺構を元の場所に戻してはどうだろうというご提案だ。

なるほど賛成だ。本物はその場所にあるからこそ、本来の訴求力を持つのだ。

旧浦上天主堂の遺構自体があの地に残していれば、広島の原爆ドームよりももっと訴求力があったと思うが、もう今更どうしようもない。せめてこの被爆遺構を浦上天主堂の敷地内へ戻すことに賛成である。

<<私の独断的メモ>>
●人と文学
・理性的言葉→理解を得る文、感性的言葉→共感を得る文
・本というものを読み下すだけが文学ではなく、それを現在進行形にするのが文学である
・自然、国家や社会、神仏、特定の集団の中心にいる人間を考える
・作者→作品→読者(現実化)
・作品を楽しむ→読み解く(誰もが持つ能力)→感じ取る(自ら獲得する領域)

●周作と長崎
・1949年5月に行われた「ザビエル来日400年祭」で天皇やローマ教皇特使が来崎した。戦後初の国際的行事。
・この式典をきっかけに上智大学で学生留学が立案され遠藤周作のフランス留学が決まった。
・1964年4月に遠藤は初来崎。「踏絵」から「沈黙」を構想。
・切支丹三部作「沈黙」「女の一生~第一部キクの場合」「女の一生~第二部サチの場合」
・浦上を通して長崎を見た。

●長崎の多層性(歴史・宗教・文化)
・天領長崎(神道・仏教)芥川龍之介など、大浦天主堂、0からのスタート、プロテスタント
・公領浦上山里村(潜伏切支丹)遠藤周作「女の一生」、浦上天主堂、300~400年の歴史、カトリック
・長崎新地中華街 佐多稲子「樹影」

●ヨハネパウロⅡ世
・ポーランド南部クラクフ教区大司教→ローマ教皇。クラクフはスピルバーグの「シンドラーのリスト」の舞台。
・十字軍遠征の反省、ガリレオ・ガリレイ宗教裁判名誉回復、「空飛ぶ教皇」
・1981年来崎、浦上天主堂、核兵器廃絶「戦争は人間の仕業です」

●「長崎 旧浦上天主堂 1945-58--失われた被爆遺産
・この写真集のことは以前ブログにも書いたが、この本を書かれたのが横手教授だとずっと気がつかなかった。
・写真を撮られたのが僕の同級生のお父様・高原至さんであり、その写真展を見に行ったときの話などを、講座の後にさせていただいた。
・また英訳をされたのは同大学のブライアン・バークガフニ教授でもあるし、いろんな方々が長崎の歴史や宗教や文化を考え、平和を発信されてらっしゃることに改めて感銘を受けた。

●歴史の中には残されてないものの方が多い。それを感じ取る力。それこそが文学なのだ。

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▲文学講座が終わって。角力灘に少し晴れ間が見えてきた。
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長崎には「墓・坂・馬鹿」が多いと揶揄されますが、「先人(歴史・文化)を敬うハカ・人の苦労(斜面都市・殉教・被爆)を知るサカ・自らを捨て人に尽くす(まつり・地域活動・平和運動)バカ」のことだと解釈し、このハカサカバカ精神で行動しながら、ケルン(記事)を積んでいます。

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