からゆきさんを訪ねて(その1)

からゆきさん(唐行きさん)のことを、ご存知だろうか?

ご存知ない方は、このサイトにほとんど書いてあるので、まずはご参照を。→からゆきさんの小部屋

歴史の表舞台には決して登場してこない彼女たちのことを訪ねて、長崎の歴史好き4人が島原半島へ向かった。

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▲時折、雨が落ちてくる水無月の5日のことだ。写真は水無川から望む普賢岳。右手の山は眉山だ。

ご案内いただいたのは、加津佐史談会の福田八郎代表と飯田さんだ。

最初に向かったのは、島原市街にある理性院大師堂。からゆきさんたちの菩提寺といもいうべきお寺だ。観光地図には、その寺名しか載っていない。

 <理性院大師堂>
 長崎県島原市の大師通りにあります。
 初代の広田言証(ごんしょう)師は明治年間に、シベリアや東南アジアからインドへ托鉢(たくはつ)巡礼の旅に出たが、行く先々にいるからゆきさんたちを集めては施餓鬼(せがき)を営みました。からゆきさんたちはお布施を包みました。その浄財をもとに造られたのが、玉垣と天如塔です。
 玉垣には献金したからゆきさんの名前、ところ、金額が彫られ、その文字にあざやかな朱色が施されています。ロシアからインドまでの間の様々な地名があります。また、嬪夫(ぴんぷ・娼館に関係する男)の名も少なからずあります。この玉垣に囲まれて建つ、八角形をしたふしぎな形の天如塔は、高台にあるためかつては遠くからでも臨め、一種の名所になっていたといいます。現在の住職信証師は「維持管理が大変で」と言っておられました。
 ここは、からゆきさんの魂が異国の各地から戻ってきたところ、といってよいのかも知れません。
 (参考)からゆきさんの小部屋から


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▲天如塔。20年前の台風17,19号で屋根とか側板が飛ばされ痛みが激しく、鳩の巣と化している。中は上りと下りの階段がらせん状に絡み合っている。掃除に行ったら鳩から攻撃されたとは現在のご住職信証師の弁。

寺の立て看板には以下の説明書きがあった。

  島原市指定有形文化財(建造物)
 天如塔及び玉垣
 天如塔は、明治42年に理性院大師堂の開祖である廣田言証(ごんしょう)師が建立した塔である。この塔は言証師が南方巡礼中にインドから釈迦如来像を持ち帰ったため、この如来像を安置するために造られたといい、塔の名前もこのインド(天竺)渡りの如来に由来するという。
 塔は八角形で、土台径は12間、高さは基壇を含めて11m余である。建設からかなりの年月を経ているため、補修等により新材に差し替えられている箇所は多いが、全体的に建設時の様相を呈している。
 この塔の特徴は、内部に螺旋階段を二つ(登りと降り)持っている点である。
 塔の最上階に如来像を安置してあり、その途中は明かり取りもない闇の中で、仏の体内巡りを意識した造りとも考えられる。二重螺旋階段を持つ類例の少ない珍しい建築物である。
 また、玉垣であるが、石製で天如塔の周囲に286本が巡らされている。これには寄進者の192名の名前、居住地が彫られている。地名は、国内のほか、北はロシアから中国、韓国を経てベトナム、マレーシアなどの東南アジア諸国、インドの地名が彫られている。
 近代の邦人の海外進出を物語るとともに、知られざる出稼ぎ労働者の実態を示すものとして貴重である。
      平成13年7月6日指定  島原市教育委員会


さすが教育委員会だ。「からゆきさん」の表現はない。海外進出??強制的に人身売買された娘たちも多かったのに・・・暗い過去を残したくない意志を感じる。

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▲玉垣。この寺に献金したからゆきさんの名前、ところ、金額が彫られている。ムユニエリというフランス人の名も。177本中112本は外国の地名が書かれているという。

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▲三地蔵菩薩

 三地蔵菩薩
 上段の左よりこうどう地蔵・せいし地蔵・えんめい地蔵と申され、明治時代 島原警察署におまつりしてありましたが、毎夜一人の巡査の夢枕に現れ「我等三地蔵は位が高いので此の低地ではなく高地に祭ってほしい」と申され当院の此の場所を御指定なされたそうです。左のお地蔵さまより耳・歯・目の病に御利益あらたと伝えられております



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▲ところは、シンガッポウ、デレブラワン、テレフランダン、ビルマ ラングン、ハイホンなど東南アジアの地名が軒並みだ。

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▲傍らに「痛魂」の碑が立つ。

ああ、紅怨の娘子軍
 海を渡った からゆきたちよ
  アジアに果てた 慰安婦たちよ
   塔のある聖地に 来りて安らえ
          合掌
平成4年11月21日 山田盟子


                     →(その2)へ続く
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> keiちゃん

久しぶりね。

山崎朋子さんの「サンダカン八番娼館」は僕も読んだよ。
今回行く前にもう一度さらっと読み返してから行ったよ。

山田盟子さんはここにあるように
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4861061822.html
主に20世紀の女性哀史を追われた作家です。

No title

山崎朋子さん著の本で深い衝撃はありました。

山田盟子さんとはどなたになるのですか?
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