中丸三千繪 in 妙行寺

5月10日、夢のようなコンサートを聴く機会に恵まれた。

中丸三千繪、知る人ぞ知る世界のディーパ(歌姫)。

1990年に声楽コンクールの最高峰「マリア・カラス国際声楽コンクール」で日本人として初めて優勝(イタリア人以外の外国人としても初)した他、ありとあらゆる世界の声楽コンクールを総なめにしてきた日本が誇るプリマドンナである。

その彼女の美声を何と目の前で(3m!)、それも大浦の妙行寺の本堂で聴かせていただいたのだ。



妙行寺(真宗大谷派)と言えば、安政の開国のとき英国領事館が置かれ、ユニオンジャックがはためいていたという由緒あるお寺。

大浦天主堂と大浦諏訪神社と隣り合わせとなった、いわゆる神仏キ融合の「祈りの三角地帯」にある。

ここの三角紘容住職が、中丸氏と長年懇意にされ、今回のコンサートを企画されたのだ。市民グループの活動のご縁で聴くことができた。


長崎には「長崎県宗教者懇話会」という組織がある。

世界の平和は、宗教者ならずとも地球市民であれば誰しもが願うこと。

しかし、世界中で起こっている紛争や戦争は得てして「宗教」が原因で引き起こされているのも事実だ。

長崎ではご承知の通り、国の政策によってキリスト教の布教・禁教・迫害・殉教と悲劇の舞台となり、仏教や神道と少なからずあつれきがあった。

そんな長崎だからこそ、それを乗り越えて、宗教を超えた真の平和を求めることを発信することに意義がある。

コンサートの冒頭、妙行寺の三角ご住職は「一番大事なのは、人のいのち、でも他人のいのちも同じように大事です。宗教を超えた平和を長崎から発信できればと思います」という話をされ、中丸氏のご紹介をされた。



中丸氏の演奏にはもうウットリ。さすがだ。声は究極の楽器とはよく言ったものだ。この木造の響かない本堂でも、中丸氏の美しい声は響き渡り、心の底から感動が湧き上がった。

お得意のオペラのアリアを中心に、日本の歌曲を取り混ぜた通常のコンサートでもないような充実した12曲であった。

そして鳴り止まない拍手に答えて、アンコールを9曲も。

何とお寺の本堂で、彼女のカッチーニとマスカーニの「アヴェマリア」を聴けるなんてことは、きっと世界中でここしか考えられないであろう。

お寺に天使が舞い降りたようだった。

僕の大好きな「ニューシネマパラダイス」の愛のテーマも。彼女もこの映画が好きなんだな、最後のキスシーンをつなげたフィルムの話をされてた。


もう歌のことはこれ以上、僕なんかが下手に書かない方がいいだろう。
また感動したのが彼女のお話だった。

昨年12月に他界された彼女の父親の口癖は「生きるということは、自分を犠牲にして他人のために尽くすこと」だったという。

彼女は小さい頃から何でも挑戦する元気な少女で、歌と出会ってからは賞をとるためだけに生きていた。そして公言通りすべてのコンクールで優勝した。というより自分の中では優勝すると決めていたという。

でもあるとき、客席でぼろぼろ泣いてらっしゃる人から「あなたの歌で救われました」と言われた体験や、50を超えるボランティア活動をしていたダイアナ妃との出会いなどから、自分のために歌うのではなく、他人のために歌うことに目覚められたという。

以後、小児ガンの子どもたちのために歌う活動など、どんな所でも出かけて行って歌っているという。以前は調子や環境が少しでも悪いと決して歌わなかったのに。


こんな話もされてた。ある小児ガンの子どもが中丸氏の歌を聞いて「私もピアノが弾きたい」と言い出し、ショパンの難曲を弾きだしたら素晴らしくて、弾き終わったときに「私、治ったみたい!」と言って周りの涙を誘ったとか。。。

自分の歌に、そんな思いを託して歌えたらと思ってらっしゃるという。

そんなお話を聞きながら聴く中丸氏の歌にはもう、涙が止まらなかった。

最後は、長崎から平和のメッセージをこの歌に託してと、「鳥の歌」が堂内に響き渡った。

中丸さんの右手に見える時計の針は、長崎原爆投下の11時2分で止まっていた。

   第2回 妙行寺本堂 コンサート
   世界のディーパ(歌姫)中丸三千繪コンサート
                   ピアノ 山浦直子

私をなかせてください 歌劇「リナルド」より (ヘンデル)
オンブラ・マイ・フ 歌劇「セルセ」より (ヘンデル)
わが母の教え給いし歌 (ドボルザーク)
月に寄せる歌 歌劇「ルサルカ」より (ドヴォルザーク)
ああ、わがふるさと 歌劇「ラ・ワリー」より (カタラーニ)

初恋 (越谷達之助)
霧と話した (中田喜直)
五木のこもりうた (熊本県民謡)
この道 (山田耕作)

さようなら、過ぎ去った日よ 歌劇「椿姫」より (ヴェルディ)
ありがとう、愛する友よ 歌劇「シチリア島の夕べの祈り」より (ヴェルディ)
清らかな女神よ 歌劇「ノルマ」より (ベッリーニ)

<アンコール>
アベ・マリア (カッチーニ)
アべ・マリア (マスカーニ)
ピエ・イエズ (フォーレ)
私のお父さん オペラ「ジャンニ・スキッキ」より (プッチーニ)
シネマ・パラディゾ 「ニューシネマパラダイス」より (モリコーネ)
ばら色の人生 (ルイ・グリェーミ)
眞宗宗歌 (会場のみなさんと)
鳥の歌 (カタロニア民謡)


なお、ピアノ伴奏の山浦直子さんは長崎で活躍されているピアニスト。
中丸氏が「長崎にもこんな素晴らしいピアニストがいる。彼女がいればいつでも長崎に来ます」と称え、山浦さんも感激され涙を流されていた。

(写真は、TVカメラも入っていて、フラッシュなんてたける状況ではなかったので、ブレてる。もっと腕を上げなきゃね・・・)
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スゴイ!!
色々な意味でスゴイ!!
中丸さんの声をそんな近くで聞けるなんてスゴイ。
場所がお寺なんてスゴイ。
お寺で「アヴェマリア」を聴けるなんて スゴイ。
こう言う場を提供した三角紘容住職はスゴイ。
こう言う会を開ける長崎はスゴイ。
この会を紹介するアニジャはスゴイ。
う~~~ん
こう言う場に居合わせたかったですね~

「一期一会」ってこういうことをいうんだなって、つくづく思ったよ。
三角住職とも直接お会いしたことはなかったわけだけど、それまでのいろんな人とのつながりから、この機会が訪れたんよ。
人との出会いは本当に大事にしなきゃね。
それにしても感動したよ。[:ワーイ:]
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