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98.幸福から奈落へ

仕事がようやく軌道に乗った。

新社屋の内部もすべてが整い、社内の規定や手続きも順調に運用され、社員も日々の仕事に追われていた。総務として充実感があった。

1990(平成2)年10月には、35年続いた独身時代に別れを告げ、親戚や友人や会社の人を大勢招いて、盛大な披露宴を開かせていただいた。

翌春には大借金を敢行し、山腹のわずかばかりの土地に家を建てた。ちっぽけな家だったが嬉しかった。

その秋には待望の息子も生まれた。病院の新生児室で小さい手足を動かしているわが子を見て、心の底から湧き上がるような感動を味わった。こんな感動は生まれて初めてだった。

三回り下の未年。飛べなかった自分の代わりに、「羽」をつけた名前を付けた。

平成元年に長崎にUターンして、全くゼロからのスタートだったが、わずか2年の間に、新しい仕事を始め、結婚をし、家を建て、子を持ち、わが人生にとって言わば「平成維新」のような大転換を果たした。

すべてが順風満帆。そして幸福の絶頂だった。


しかし、人生はそんなに甘くはない。突然の悲劇がわが身を襲った。

再下血。

1993(平成5)年10月のことであった。折りしも、その日は息子の2歳の誕生日だった。

市民病院に緊急入院。

30歳を過ぎて、千葉の君津で下血し入院したときから数えて三度目であった。


それまで原因が分からなかったが、三度目の正直。終に病名がついた。それも恐ろしい病名が・・・

その名はクローン病。主として口腔から肛門までの消化管全域に、非連続性の炎症および潰瘍を起こす原因不明の疾患だという。

そして何と、この病気は厚生労働省指定の特定疾患(難病)であった!

難病?!?この僕が??信じられなかった。晴天の霹靂とはこのことだ。

その関連の本をむさぼり読んだ。読めば読むほど暗くなった。

症状は個人差が大きく、腹痛、下痢、体重減少、さまざまな症状がでるという。ひどい人は食事を一切取れない。寝ている間に鼻から管で高栄養剤を注入するらしい。

さすがに落ち込んだ。食事が一切摂れない??これからずっと??一生??ウソだろ??信じたくなかった。

その年の年末まで65日間の入院を強いられた。一切食事は摂れない。IVH(高カロリー輸液)を肩から入れた。後半には鼻からチューブを入れる苦しい訓練も始めた。

どんなときでも前向きに生きてきたさすがの僕も、初めて人生に悲観した。

わが子が見舞いに来て、点滴台に乗って楽しく遊んでいる姿が、何ともつらく、愛おしかった。

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2弾目だね。
何だか、私の弟と似てるよ。
晩婚だった事や、家を作った事、子供がまだ小さい事。
そして、病に苦しんでいる事、年齢も弟と近いし。
あなたの日記を読ませて貰っていると、どうしても、そういう目で見てしまうのです。
子育ての最中での、入院生活って大変だよね・・・・。
奥さんも同じだったでしょう。

程度の差こそあれ、どなたでもあることでしょうね。
でも感じ方、考え方は人それぞれです。
他人から一見不幸に思えることも、当人にとっては何てことなかったり。
僕はいろいろ病気でつらい思いはしてきたけど、でも自分は幸せ者だとつくづく思ってます。
今、こうやって好き勝手できてる訳だし、沢山の優しい人たちに囲まれて、楽しく過ごさせていただいてます。もったいないぐらいです。
このブログを読んでくださってる方に、同じ思いで頷いてもらったり、逆に勇気付けられたりしながら、人生楽しまなくっちゃって思います。
自分の人生だもの。
弟さんもきっと良くなりますよ![:ワーイ:]

人生の先輩としてのあにじゃさんのこのブログ、
待ってました!(でもプライバシー等もあるでしょうから、
無理しなくてもいいですよ(^・^))
そう30代って20代の頃の夢いっぱい(?)とばかりは
いかずに、いろいろと生々しい(苦笑)ことが降りかかって
来たりする頃ですよね。
時代は違いますが、今まさに30代の自分も避けがたい事
がいろいろ重荷になってきたりします。20代のようには
無理がいかず、体力も健康面も衰え始めてきてるのを
感じます。白髪急増、少しだけ一部ハゲかけ・・(って
まだまだ元気ですが・・)
仕事上の相当な重責・今後の(夢ではなく)現実的
な将来展望等、好むと好まざるとに関わらず、現実生活
で直視すべきことが、増えてくる・・。
健康面と仕事、家族等、どれも安定した状態とは言い難い。
特に現代は生活基盤となる、仕事面の不安が大きく、半年
後でさえどうなるかわからない。
30代での健康面の重大な不調とは、それ故この様な
味のあるブログを書ける原動力となっているのかも
しれませんね!
どんな苦労も決してマイナスにならないと思って、あにじゃ
さんのブログで改めて私も励みにさせていただきます・・。

りょうさん、いつも嬉しい言葉ありがとう。僕の人生は、大したもんじゃないけど、誰にでもあることだと思って書いてきました。りょうさんみたいに言ってくれる人が一人でもいてくれるから、このブログも書く甲斐があるというものですよ。
時代の流れに逆らうことはできないけど、少しでも自分の納得のいく方向に進みたいものだね。
そのためには自分の視界も広げないとね。時には流れから外れて同じ所をぐるぐる回ってるだけのときもあるけど、そんなときはあせらず自分の好きなことしながらチャンスを待ったりね。
いつかは沈んでいく儚い人生航路だけど思いっきり楽しみましょうね[:ウィンク:]
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